神田錦町『更科』
神保町から竹橋に向かう途中の五十通りに、ひときわ存在感を放つ「お蕎麦屋さん」があります。提灯や看板など風情のある店構えにひかれて入ったのが神田錦町「更科」。五代続くという老舗ですが、店内は庶民的な雰囲気で、ランチ時とあってサラリーマンが次々に入店していました。
更科蕎麦(さらしなそば)は、ソバの実の中心部の粉を使った蕎麦の名称で、上品な香りの白い麵が特徴です。粘りがなくつなぎをよく使います。
神田錦町「更科」の蕎麦は、色白で細目の正統派の更科蕎麦です。蕎麦粉八につなぎ二の割合で、ほどよいのどごし。サクッと揚がった大きなかき揚げも美味しい。つゆは濃くて甘いのが更科蕎麦の特徴ですが、少し塩辛いかな.. という印象でした。そば湯は濁りとトロミが少なめで、少々濃い味のつゆに合って出汁とかえしの旨さがよくわかります。
ところで、「二八蕎麦(にはちそば)」の名前の由来は、粉の割合という説(蕎麦粉8、小麦粉2で打った蕎麦)と、江戸時代後期に屋台の蕎麦の値段が16文であったことから、九九の二×八からきたという説があります。最近では、小麦粉8、蕎麦粉2という割合の蕎麦もあります。ちなみに蕎麦粉の自給率は約25%、大半が中国からの輸入です。