40年の歴史に幕を閉じたロケ地の名所「酔の助」
緊急事態宣言が解除され、神保町にも日常が戻りつつあります。その中で、休業要請により4月8日に臨時休業してから一度も営業しないまま、40年の歴史に幕を下ろした伝説の居酒屋があります。「酔の助」は日消協の事務所から徒歩1分、昭和を思わせる懐かしい雰囲気が漂う店内と、来店の折は必ず注文した名物の「ガンダーラ古代岩塩ピザ」をはじめ150種にも及ぶ格安のメニューが魅力でした。
「酔の助」の伝説は、昨年だけで約50回撮影されたという映像作品のロケ地としての存在です。いつもは夕方5時開店の店が早朝からシートで被われ、ロケ隊用の飲料などが準備されているのを見ると、ドラマの撮影が始まる、とワクワクしたものです。星野源さん主演のドラマ「逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)」での居酒屋シーンを覚えている方は多いのではないでしょうか。映画「舟を編む」では、出版社の仕事を終えた主人公(松田龍平さん)が辞書編集部の仲間と呑み交わした居酒屋が「酔の助」でした。
写真は取材のマスコミやカメラを手にした常連客と思しき人々が訪れていた、閉店前日の5月27日の店の様子です。少し開いた入口から中をのぞき、数々の名場面の舞台に別れを告げました。