消費者宣言

主権者であるべきわれわれ消費者は、生産者や労働者の団結にくらべれば、いまなおはなはだしく微力であり、したがって未組織であり、時には消費生活が不健全化し、その声はともすれば社会の底辺にかき消されがちである。日本消費者協会はこの弱い消費者の声を代弁し、同時に消費者が主権者としての資格と権威とを獲得するために全力をつくるものである。

われわれは、ここに新しい力を呼びおこし、今後の運動の方向を次のように定め、消費者運動に邁進することを宣言する。

  1. われわれは正しい商品選択のための情報を消費者に提供するとともに、商品に対する苦情の処理にあたる。
  2. われわれは、消費者の声を結集して生産者および販売者に伝え、消費者と生産者との間の疎隔を改め、わが国における消費生活の健全化をはかる。
  3. われわれは、政府および地方行政機関に対し、適切な消費者行政の確立を要求する。
  4. われわれは、消費者のための消費者の声による消費社会の成立を期し、消費者主権の確立に邁進する。
  5. われわれは、海外諸国の消費者団体との連携を密接にし、消費者の国際的団結を強化する。

(1962年9月)
 

消費者運動の原則

  1. 公正競争の確保
    一切の生産が消費者のための生産である限り、消費者に提供される商品およびサービスは、その価格と量も句と品質と機能において、消費者の健全な需要をもっともよく満たすための公正な市場競争が確保されなければならない。
  2. 豊富のうちの選択
    消費がわれわれの生活を維持し幸福を増進するものであるためには、われわれに提供される商品およびサービスは豊富でなければならない。それと同時に消費者は自分の需要にもっともよくあうものを自由に選びうる立場におかれなければならない。
  3. 正確な知識の普及
    多くの種類の商品・サービスの中から、消費者が誤りなく自分の需要ににもっともよくあうものを選ぶためには、すべての消費者はそれらの商品・サービスの価格・量目・品質・機能などについて、正確な事実を知らされなければならない。
  4. 消費者の意志の尊重
    消費者は提供を受ける商品・サービスについて、その提供者たる官庁・国有産業・民間企業などに対し、消費者としての意見を述べ、苦情が解決される機会と手段が与えられなければならない。
  5. 消費者行政の整備
    上記の4原則は消費者の固有の基本的権利である。しかし、これらの権利を消費者が確実に実行するためには、政府は直接間接にこれらの消費者の権利を守る措置をとる責任を負うべきものである。
  6. 消費者の社会的責任
    消費者はみずからその消費生活を健全なものとすることに努力し、有効な消費者行政に協力して、社会全体の健全な成長を助けるべきである。

(1962年9月)